さて、少し前に読んだマンガなのですが、隆慶一郎原作、横山光輝作画の「捨て童子松平忠輝」を紹介したいと思います。
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■ 作品の背景
松平忠輝は江戸初期においてはややマイナーな人物かもしれません。
徳川家康の実子なのですが、顔が醜いとして家康から遠ざけられていたという逸話のある人物です。最終的には75万石の大大名に出世するのですが、20代なかばで大阪夏の陣で遅参したことから改易(身分を剥奪し所領を没収すること)されてしまい、92歳で死去するまで、60年以上にわたって日陰者として冷遇されたようです。
剣術、騎射、水泳に優れ、茶道、絵画、薬学に通じた文化人とあるので、文武に通じた優れた人物であったことから、ともすれば凡庸と評価されがちの二代将軍の徳川秀忠とは鮮やかな対照をなしているとも言えます。
もし、世評通りあるいはそれ以上に優れた人物で、徳川政権に対抗、あるいは転覆しうる力の持ち主であったら、92歳まで生き延びたことが不思議であるほど過酷な人生であったことでしょう。
隆慶一郎は、巨大な権力に対する個人、閉塞感あふれる江戸期(あるいは現代日本)への反発、自由に生きる人々の夢を、この人物に託して、壮絶な物語を組み上げました。
■ マンガ版の見どころ
横山光輝のマンガの見どころといえば、孤高のヒーローが強大な敵と戦うある種ハードボイルドな人物や物語をストイックに描き出すところではないでしょうか。作中の松平忠輝は決して孤独な人物ではありませんが、幕府という強大な権力を前にしてたくましく、しかしながら湿っぽくならずに淡々と生き抜いていく姿は、まさに横山マンガの真骨頂といえるでしょう。
マンガで隆慶一郎原作といえば、原哲夫(花の慶次など)なのですが、個人的には原作と作画の個性が両方とも生きているという意味で、隆慶一郎と横山光輝の組み合わせのほうが好きですね。
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Posted by あかさた, 2014/05/07 16:14:55
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