Ruby.NET Compiler ですが、C# などの言語との相互接続性(interoperability)を確立したようです。つまり、Ruby 上で C# で宣言したクラスのインスタンスを生成したり、C# 上で Ruby で宣言したクラスのインスタンスを生成したりできるようです。継承などがどうなるのかは試していません。

eval、パフォーマンス、日本語はどうなるのかなど、気になる点は多いですが、5 月には VS.NET 上での開発も実現しており、機能的には使えるレベルまできた気がします。

Rails を移植するつもりもあるようです。個人的には全然うれしくないですけど。長期的には意味があるかもしれませんが、向こう数年間では、.NET で Rails が動いてもそれほど意味がない気がします。Mono があるとはいえ動作する OS が制限される、gem は?、数々のプラグインは?、などなど心配事は尽きません。メリットがあるとすれば、ウェブインタフェース(オンライン処理)は Rails、バッチは C# というような使い分けかもしれません。

それに、Ruby はパフォーマンスがあまり良くないのでマシンを並列することも多いと思いますが、有料の OS はマシンごと or CPU ごとに課金することが多いので、そういう意味でも難しいと感じています。

個人的には、クライアントに可能性を求めて欲しいところです。ただ、.NET DLR の Ruby(IronRuby)との位置づけはどうなるのでしょうか。(処理系が増えること自体は、歓迎すべきことでしょう。)

(相反することをいうようですが、個人的には JRuby 上では Rails は動作して欲しいです。Kodougu を移植したいので。EMF とか使いたいものがたくさんあります。)

ま、今後に期待ということで。

Posted by あかさた
最近、.NET の事情を追っかけていなかったので、今日は少し追っかけていました。最近、Java の世界では JRuby が盛り上がっていますが、.NET の世界でも動的言語の勢いがかなり強いようです。Jython や IronPython の開発者である Jim Hugunin のブログを読んでいたら、.NET における動的言語の取り扱いがなんとなく見えてきました。

Jim Hugunin's Thinking Dynamic
http://blogs.msdn.com/hugunin/archive/2007/04/30/a-dynamic-language-runtime-dlr.aspx

上記のブログで、私が気になった点を抜き出しておきます。

1. CLR(Common Language Runtime)について
上記のブログでは、CLR の利点を二つ挙げています。一つは、プログラミング言語を簡単に作れるようになったことです。これは、CLR が言語を作るうえで技術的に難しい点(GC だとか JIT だとかセキュリティモデルだとか)をすでに実装しているからだそうです。もう一つの利点は、異なるプログラミング言語をシームレスにつなげるようにもなったこととのことです。

2. CLR と DLR
IronPython で示したとおり、CLR は動的言語をよくサポートしています。さらに、CLR 上で動的言語を作りやすくするために、動的型システムなどを実装した DLR(Dynamic Language Runtime)というものを作るそうです。DLR の上で、Python、JavaScript、VB Script、Ruby を実装するそうです。

3. DLR と Silverlight
DLR は Silverlight にも搭載されるそうです。サーバもクライアントも Ruby で書けるなら、全てを Ruby に・・・と、夢のような世界が!

※ Silverlight とは、MS 版 Flash みたいなものです。

もちろん、DLR だけであれば、Java の世界にも似たような動きはすでにあったのでそれほど驚きはしませんが、Silverlight に乗っかってくるとは知りませんでした。(って、どれだけ世情に疎いんだ私は。orz)Kodougu を書いているときも、Ruby と JavaScript を行ったり来たりして最悪だったのですが、この世界が実現されればそういうことからも解放されそうです。

技術的なコンセプトはすばらしいので、後は政治的な理由から Linux は仲間はずれ(Silverlight は Mac の Safari にも対応するらしい)とかそういう馬鹿馬鹿しい現象がおきなければ良いのですが。。。


Posted by あかさた