前にも少し触れましたが、今、ネット上では生産性に関する議論がなされているようです。
# 多分、もう決着はついたと思いますが・・・。

下にネタもとのリンクを貼っています。いわゆるアルファブロガーに相当する人しか追っていません。あまりに議論が膨大なので。(--; 多分、議論は生産性と賃金についてです。賃金は当人の生産性によって必ずしも決まるものではなく平均生産性から決まる(by 山形氏)という話題から始まって、紆余曲折あって、賃金は限界生産性(※)によって決まるという結論になって終わります。結論が出た後は、富の分配システムの方に議論が行ったようです。

これだけ盛り上がったのは、いわゆる炎上に近い現象が発生したと考えて良さそうです。経済関係の議論の問題点として、複雑なケース(たいていの現実は複雑ですが)になると、モデルを組むことが難しくなって議論が定性的になったり直感に頼るようになったりする(※※)ので、なおさら炎上しやすいのだと思います。(--; でも、私は皆さんが言いたいことはそんなに違わないと思っています。

※ 限界生産性とは、労働者を一人雇用したときに上昇する生産性のことです。SIer なら生産性=売り上げでいいと思います。間違っても生産性=書けるコードの量ではありません。SI は人月による人身売買ですから、何人売れるかで十分です。一人雇ったときに上昇する売り上げによって賃金が決まると言えば、直感的でしょう。

※※ 池田氏はモデルがシンプルなのでこうした罠にははまっていません。読み物としては山形氏のものが面白いです。

結論がわかりにくかったので、自分でも少し考えてみました。(結論をなぞっただけですけど。)

SIer の場合、限界生産性は横ばいに近い(人月でビジネスをするので、人数×単価で売り上げが決まる)のですが、研究開発などのイノベーションによって単価を上げることができる(=限界生産性を上昇させる)のなら、売り上げが上がって賃金も上がるというわけです。前の職場はそうしたロジックを大切にしており、単価を上げるような研究開発を継続して行っているため、単価&利益率は業界最高クラスです(※)。給料は中の上くらいですが。(^^; たいていの SIer は限界生産性は横ばいだと思うので、賃金も横ばいです。ただ、オフショアの浸透などが SIer の単価を引き下げる要因になるので、給料は下がっていくのかなと思います。
# だからオフショアの影響を受けにくい職種(要求とか PM とか)にエンジニアは転向しようとするのです。

※ このブログは前の職場の人も読んでいるので、一言警告を。この優位性は長くはもたない・・・つまり、抱えているイノベーションや新しく生み出しているイノベーションが相対的に価値が低くなっているので、会社におんぶにだっこではいずれ給料が下がっていきます。この方向性(技術の××)で行くのなら個人個人がもう少し意識を高く持つ必要があるんじゃないかな。え? 仕事が忙しいからムリ?? そもそも技術志向なんてやってらんない??? ま、そーだよねー。

ということは、SI に関しては単価の高い仕事に転向しないと給料は下がる一方だよ・・・と。プログラマは生きてけないよってね。上流志向の人ならいいけど、IT エンジニアになったらみんな上流に行かなくてはいけない・・・というのはちょっと窮屈です。(私は長くオフショアに関わったせいか、そういった窮屈感は感じなくなっていますが。)もっとも、池田氏の最後のエントリ(賃金格差の拡大が必要だ)が実現すれば生産性の高いプログラマなら生きていけるという話になって、技術屋にとっては技術力を磨くモチベーションになります。

池田信夫 blog 賃金格差の拡大が必要だより

労働時間で賃金を支払って年功賃金で会社にしばりつけるといった在来の賃金体系をやめ、優秀なプログラマには契約ベースで管理職より高い賃金を払う必要がある。


さーて、単価が下がってプログラマがいなくなるもしくはワーキングプアになるのが先か、優秀なプログラマなら生き残っていける社会が来るのが先か。どうしたもんだろ。

■ 議論の流れ
以下、議論の流れです。(めちゃくちゃ長いのでリンク先は興味のある人以外は読まなくていいです。)

2007/2/4
山形浩生 の「経済のトリセツ」  Supported by WindowsLiveJournal - ゴッドランドの経済学
http://d.hatena.ne.jp/wlj-Friday/20070204/p1

2007/2/11
山形浩生 の「経済のトリセツ」  Supported by WindowsLiveJournal - 生産性の話の基礎
http://d.hatena.ne.jp/wlj-Friday/20070211/p1

2007/2/12
池田信夫 blog 生産性をめぐる誤解と真の問題
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/cd4e52fd7cca96ac71d0841c5da0cb75

404 Blog Not Found:生産性より消費性
http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/50762325.html

2007/2/13
分裂勘違い君劇場 - アルファブロガーたちの地位争いが優良コンテンツを量産する
http://d.hatena.ne.jp/fromdusktildawn/20070213/1171359965

山形浩生 の「経済のトリセツ」  Supported by WindowsLiveJournal - それでも賃金水準は平均的な生産性で決まるんだよ。
http://d.hatena.ne.jp/wlj-Friday/20070213/p1

2007/2/14
池田信夫 blog 生産性と「格差社会」
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/b8b2dd3502ef769c7f5baf18143f53e1

2007/2/15
分裂勘違い君劇場 - 「他人の生産性が向上すると自分の給料も増えるのか?」を中学生でもわかるように図解してみました
http://d.hatena.ne.jp/fromdusktildawn/20070215/1171504603

山形浩生 の「経済のトリセツ」  Supported by WindowsLiveJournal - 山形より上手でていねいな説明をごろうじろ。
http://d.hatena.ne.jp/wlj-Friday/20070215/p1

404 Blog Not Found:生産性は誰のものか
http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/50765006.html

池田信夫 blog 賃金格差の拡大が必要だ
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/b697e23a80b6602167c2f5e43ebad041


Posted by あかさた
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