業務用途でRubyを使う上での課題という記事を読んで、Ruby を楽しさで図ってはいけないと思いました。この話自体は、ささださんの成果報告会のパネルネタなので、私はリアルタイムに聞いていたわけですけど、そのときは感じなかった違和感を記事から感じてしまいました。

今 Ruby が楽しい理由は、Ruby の本質とは関係ないところにあるような気がしています。

パネルディスカッションで印象的だったのは、楽天の森氏も、CTCの小島氏も“Rubyの楽しさ”を強調したことだ。小島氏は言う。「Rubyを使うようになってから、プログラマが幸せそうに働いているんですよ。このインパクトは大きい。朝から黙々とキーボードを叩いている姿は、今日も会社に行くの嫌だなと思うのとは大きな違いです」。森氏も異口同音だ。「エンジニアが楽しそうで仕事が活発になった。Rubyが広がることで日本が元気になればいい」。


今、Ruby をやって楽しい理由は三つあります。

一つ目は、Ruby 自身が楽しい言語であることです。書いて動かして試すまでのサイクルが、Java などと比較すると短いです。Python でもいいじゃんって言われそうですが、Python は Ruby のようにさまざまな書き方はできません。(いや、同程度の記述能力は持っていると思うのですが、Python の思想的にそれは合いません。)Perl や PHP は私はコードを見ただけで吐き気がします。マイナーな言語の中には、Ruby と同じ要件を備えた言語もあると思いますが、メジャーな言語では Ruby こそが楽しいプログラミング言語といえるでしょう。

二つ目は、つまらない仕事は Java プログラマ(C# プログラマでもいいが)がやってくれていることです。言い方は悪いですが、つまらないシステム開発は、言語を何を選んでもつまらないのです。

三つ目は、Ruby はまだコモディティ化していないので、Ruby をやることによって注目を集めることができることです。とかく、日陰者になりやすいプログラマが、光を浴びる良いチャンスです。また、皆が知らない新しいことをやるのは楽しいものです。

さらにもう一つ言うと、今 Ruby をやっている人は Ruby 好きの人が多いでしょうから、楽しくて当然でしょう。もし、あなたが Ruby から楽しさを得ようとしているのであれば、上記の三つを良く考える必要があります。一つ目にコミットできているなら問題ありません。二つ目、三つ目の理由が隠れているとすれば、引き際が肝心です。特にこれから参入を考えるなら、引き際を誤る可能性があります。(だからといって、つまらなくなるというだけで実質的なデメリットは何もありませんけどね。)

Ruby は楽しさだけで図ってはいけません。IT エンジニアの全てがプログラミングが好きなわけではないし、ビジネスなので楽しさ以外のメリットをちゃんと考える必要があります。

という私は Ruby 好きですけど。

Posted by あかさた
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