去年末くらいから取り組んでいたのですが、結構いい感じに出来上がったので告知させてください。
スマートフォンのブラウザ上でTシャツをデザインして注文できるウェブサービス「tmix」を開発しました。
サーバーサイドが私でエディタ部分は
@dycoonが実装しました。
スマフォ版Tシャツデザインエディタ
■ 経緯
元々tmixは、2009年に始まったPCブラウザ上でTシャツをデザインして注文できるサービス(flash)でした。
このサービスによって、ブラウザ一つで多くの人が手軽にTシャツを作って楽しめるようになりました。
しかし、時代は変わりスマートフォンからのアクセスが4割を占めるようになり、tmixを訪れる多くの方が、tmixを使うことができないという現実に直面していました。
スマフォアプリの全盛期の今、flashのないブラウザで同等のサービスが実現できるか技術的に難しい面もあります。
Eコマースサイトはアプリに移行しにくい問題(決済などの理由)もあり、リッチなブラウザウェブサービスの開発は今後も増え続けるでしょうから、敢えていばらの道に挑んでみることにしました。
PC版とスマフォ版のエディタ
当面はChrome/Firefoxブラウザなどを使えばPCからもさわれるようになっています。ぜひ、さわってみてください。
(そのうちスマフォ/タブレット以外のアクセスはリダイレクトすると思いますが。)
スマートフォン版tmix
■ 仕組み
デザインエディタにはenchant.jsを利用し、サーバーサイドはRuby on Rails 3.2を使っています。
テキストの描画はスマートフォンは回線が弱いことから、フォントをクライアントに転送することはあきらめ、サーバーサイドでImageMagick(freetype)を使って画像を生成して返しています。
サイト上で利用するTシャツデザインのサムネイル画像やTシャツへの印刷画像もサーバーサイドで生成しています。
しかし、大きな画像は即時には生成できない(※)ため、バックエンドジョブキューを独自に開発して、時間のかからない画像生成はオンラインサーバ、時間のかかる画像生成はバックエンドジョブサーバに振り分けています。
※ 印刷に使う画像は3564*5040pixel、数十秒で生成できることもありますが、Amazon EC2のLargeで1 ~ 2分かかる場合もあります。意外にバカにならないのはpngの圧縮にかかる時間です。オプションで結構時間を削れますが、試行錯誤が多少必要でしょう。
インフラはAmazon Web Serviceを使っています。EC2、ELB、S3、Glacier、Route 53、SES、ElastiCache、RDSなどを使っています。
便利すぎてAWSが無いと生きていけない体になりそうです。
■ 課題や今後の計画
リリースしたものの、スマフォ版はいくつかの技術的な課題を抱えています。
当面は問題を解決しつつ、使い勝手を向上していく予定です。
- Xperiaの標準ブラウザで落ちることがある
- 機種によってはデザインエディタのタップの反応が鈍い(チューニングすれば改善できることはわかっていますが、まだ手が回ってません)
tmixそのものはPC時代から続く長年の経験によって、SEO、工場生産の仕組み、ユーザーテストを用いた継続的なユーザビリティ向上など、オーダーメイドを伴うEコマース系サービスとしてかなり高いレベルで運用されています。
しかしながら、時代はどんどん進んでおり、ログ解析をベースに統計的アプローチを活用したサービス改善も多くのサービスが取り入れています。
tmixではこうしたアプローチは一部行われていますがまだまだ不十分です。
今のところは、競合でそこまでやっているサービスはないようですが、いずれは当たり前になります。
競合に差をつけ、さらに快適で使いやすいサービスにするためにも、ログ集約基盤としてfluentdを活用しつつ、独自の分析手法を用いたシステムを開発中です。
業務上の機密にかかわる部分は難しいですが、技術的なポイントは共有可能だと思うので、開発が完了したらまたお知らせしたいなと考えています。
■ 参考
ブラウザ上でTシャツをデザイン・注文できるウェブサービス「tmix」の開発に参加した
2009年にPC版をリリースしたときの告知です。この時はFlashでした。
今はスマートフォンですら、HTML+JavaScriptだけでこれだけのことができるのだから、時代は進歩しましたね。
【日本初】tmixが、スマートフォンからオリジナルTシャツを作って購入できるようになりました!!
tmix運営ブログの記事です。日本初!とかって書くとなんか怪しいですね(笑)。