ホワイトカラー・エグゼンプションについて でホワイトカラー・エグゼンプションについていくつかのブログを紹介させていただいたところ、立石さんからコメントをいただくことができました。あんなグダグダのエントリに非常に丁寧なコメントをいただき、ありがとうございます!

少しまじめに書きます。

立石さん wrote:

概ね「その人にとっては時間と生産量の相関」が認められることはご理解いただけるかと存じます。


なるほど。ここが意見の相違点のようです。ちょっと極端な例ですが、Joel 氏の例を挙げておきます。

Joel 氏 wrote:

私は最初の仕事以来、開発者としての自分が生産的にコーディングするのは平均して1日に2、3時間だということを認識していた。


Joel 氏 wrote:

ひとたびフロー状態になると、それを維持するのは難しくない。私の一日の多くはこんな感じだ:(1) 仕事にとりかかる。(2) emailをチェックしたり、Webを見たり、そのほかのことをする。(3) 仕事に取りかかる前にランチを取ったほうがいいと判断する。(4) ランチから戻る。(5) emailをチェックしたり、Webを見たり、そのほかのことをする。(6) いい加減はじめたほうがいいと心を決める。(7) emailをチェックしたり、Webを見たり、そのほかのことをする。(8) 本当に始めなきゃいけないと、再び決心する。(9) くそエディタを立ち上げる。(10) ノンストップでコードを書いていると、いつのまにか午後7:30になっている。


ここまで気まぐれな人は珍しいとは思いますが・・・。あるいは、ピープルウェアなどをお読みいただければよいかもしれませんが、生産性には投入時間だけではなくそのほかの要因も多く、それはわりと雇用形態を多様化することで、改善できるものでもあります。もっとも、ホワイトカラー・エグゼンプションですっかり改善するかどうかは別問題で、究極的には請負契約にでもするしかないのかもしれませんが。。。

立石さん wrote:

多くのプログラマやSEが自分で作業量を決められる立場になく、


ここが本質なのでしょう。「今日の午後はこれをやってください、明日の午前はこれ」というような仕事の進め方ならばそうでしょうが、ある程度の塊(一週間とか)で仕事をしている分には、「裁量できない」のではなく「裁量する権限がない」だけです。デスマーチに陥っていたらどうしようもありませんが。。。

立石さん wrote:

エントリ中にお気に障る部分があったかもしれませんが、IT業界やIT業界に携わる皆様への「警鐘」としてご理解頂ければ幸いです。


ありがとうございます。本質的には、IT 業界自体が十分成熟しておらず、裁量労働とかホワイトカラー・エグゼンプションとか議論できるような状況になっていないことが問題なんですよね。

私は、本質的には SE/プログラマは成果で計るべきと考えているので、裁量労働やホワイトカラー・エグゼンプションの導入は賛成です。もっと雇用を多様化しても良いと考えています。仮に裁量労働制適用範囲外にしても、サービス残業になるだけなので、雇用を多様化して、成果とは何か、働き方をどうするか、議論する下地を作っていく必要があると考えています。

いい加減な元エントリに丁寧なコメントをいただいたことを、重ねて御礼申し上げます。m(_~_)m

Posted by あかさた
すぐには実現されなさそうですけど、ホワイトカラー・エグゼンプションに関する議論が結構見られるので、あさってみました。

分裂勘違い君劇場 - 社員全員がホワイトカラーエグゼンプションの会社で働いてたことがあります

想像力はベッドルームと路上から - 「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入を阻害しているのは経営側である。

池田信夫 blog 労働は時間ではない

上記のエントリにはおおむね賛成。残業代ゼロ法案という表現は間違っていると思います。多様化した雇用形態への対応と考えるべきでしょう。

以下のエントリも基本的な議論は正しいと思いますが、一点。
コンサルタントのネタモト帳+(プラス) 労働法務:「ホワイトカラー・エグゼンプション」の議論と労務コンプライアンス ~ ほぼ日刊で「経営の話題ネタ」を名古屋から発信!社労士・診断士のコンサルタント立石智工のビジネスヒント集

「SE/プログラマー」と呼ばれる方々には、「ホワイトカラー・エグゼンプション」を認めるべきではなく、本来であれば「裁量労働制」も認める対象ではないと私は考えます。なぜなら、彼らは「指示に基づいて指示された作業(設計書の作成、プログラマー)を行う」ことが本来的な使命であり、端的に言えば「ネクタイを締めたブルーカラー」に過ぎないためです。


「プログラマ 生産性」あたりでぐぐって欲しいものです。知的労働だから成果に関する個人差が激しい世界なのです。せっかく良いこと書いているのに。知らない業界のことは書かなければ良いと思うのですが。
# もっとも、「プログラマの生産性は時間で計れる」とした方が都合が良い側の人なのかもしれませんが。
元業界の方だそうです。エントリの真意を見落としていたように思います。大変申し訳ありませんでした。(1/24 追記)
## あ、もしかしてこの業界は機械的に働いている人間が多いと指摘しているのかな?
## それならあたってないこともないか。。。

私は IT 業界の人間ですが、ホワイトカラー・エグゼンプションは賛成です。もともと残業代つかないし。改善活動のモチベーションがあがるでしょうし、働いていて楽しいのではないかと。難点は、成果を計ることが難しいことでしょうか。。。

Posted by あかさた
分裂勘違い君劇場 - 子供の「どうして勉強しなきゃいけないの?」→ 勉強することの具体的で直接的で切実なメリットを説明」を読みました。

で、ぼくが日々実感している、「勉強することによる具体的で直接的で切実なメリット」は次の4つ。 (1)もっと楽しく遊べる (2)もっと楽しく仕事ができる (3)もっとすばらしい友達をたくさんつれる (4)騙されてひどい目に合いにくくなる


説明は大人向けですね。でも、とてもわかりやすいです。子供のころにもっと勉強しておけば良かったと後悔しました。(笑)

そこで、これのピアノ版を考えてみました。ピアノといえば、「一日弾かないと三日分下手になる(二週間バージョンもあるらしい)」と言われ、毎日毎日根気よく練習することが求められます。子供のころは、これがいやでやめちゃった人もいるのでは? 大体、ピアノをやめる原因って、先生と合わないか、練習が詰まらないかですからね。

ピアノも勉強と同じで「たくさんやれ!」と言われるわりには、「ピアノを練習すると何がうれしいのか」は教えてもらえません。
「プロになるには練習が必要」 ← 別にプロになりたくありません
「何か一つくらい趣味を」 ← 別にピアノじゃなくてもいいじゃん
「なんでそんなことを思ったの?」と聞き返す ← 何にもモチベートされずに毎日ツェルニー弾いてられるかっての

えー、念のため言っておきますが、今は、私、たいへんピアノは好きで、練習も好きです。小さなころにちゃんと練習しておけば今頃はもうちょっとましにピアノが弾けたんだろうな~、と感じているわけでもあります。気が向いているときは、楽しく弾けるんですけどね~、毎日決まって練習というのはできませんでした。

そもそも、当時はピアノを上達しなくちゃいけない理由も良くわかりませんでした。習い事にはピアノに限らず級とかグレードとかがあるものが多かったように思います。上に上がっていかなくちゃいけないのに、私にとって大概の習い事には上に上がるモチベーションがなかったというわけです。
# 今はそういうのは嫌いじゃないけど。

というわけで、ピアノはなぜ上達した方がいいのか考えてみました。子供向けには説明できそうもないので、主に自分向けにしてみます。

「なぜピアノは上達しなければならないのか?」
(1) 楽しい
やはり好きな曲憧れの曲を弾けると楽しいものです。でもまぁ、好きになる曲がいつでも、自分の実力の範囲内で弾ける曲とは限らず・・・というか、たいていはその外にあるものです。だから、上達はした方がいいのです。弾けるかどうかは別として、せめて「チャレンジしてみようかな」と思うくらいの力が欲しいのです。

(2) かっこいい・・・気がする
確かに・・・オジサンがたどたどしくピアノを弾いている姿もアジがあって良いのですが、やはりバシッと弾けるオジサンになりたいものです。(注、私はまだ若いです!)

・・・う、もうネタ切れ。思いつかん。自分が何によってモチベートされているのかわからなくなってきた。ま、いっか。ピアノ弾こっと。

Posted by あかさた
ひがさんのブログにスクリプト言語とタイプセーフな言語の生産性という記事が載っていて、Ruby と Java の生産性に関する話題に触れていました。SOA をやってて強く思ったのですが、やはりこの世界 Java な人は多く、タイプセーフな言語の強みを語って Ruby などのスクリプト言語の盛り上がりに対抗しようとする人が多い気がします。
# 会社でもそういう人の話を何回も聞かされたし。

ひがさんの指摘されているとおり、いろいろ道具立てがそろってきた今、Ruby(Rails)と Java の間に生産性の有意な差があるとは思えません。というか、最近仕事で軽くではありますが、Eclipse + Ruby(Rails)と Eclipse + Java(Seasar)を使いましたが、生産性という観点でそれほどの差は感じませんでした。

どっちがアジャイルかと聞かれると、「うーん、似たり寄ったりかなぁ」と答える気がします。プログラミング 2.0でオライリーの意見を紹介したとおりです。この記事にしても、あくまでマーケティング的な意味合いで、書かれているのでしょうね。

もっとも、無理に対決話に持っていく必要はないですけど。

Posted by あかさた
有名なブログから話題を引っ張ってくるのもなんですが、ビルゲイツの面接試験-ビジネス編を読みました。

【1】 チープ革命の波は企業だけでなく個人にまで押し寄せている。個人が会社に属さずにウェブでビジネスをして十分に食って行くことができる時代が来ようとしている。

【2】 クレジット・カード詐欺やフィッシング詐欺が増えた結果、消費者がオンラインで個人情報を与えることにとても慎重になっている。その結果、Amazon、Wallmartなどの「信頼できる大手e-コマースサイトでしかオンライン・ショッピングをしない」消費者が増えている。

 この一見矛盾する二つの情報をあなたならどう解釈するか、そして、そこに何らかのビジネスチャンスを見出すことができるか、というのが今回の問題である。


足りない頭を使って、考えてみることにします。ここでは、私は個人の立場に立って回答します。つまり、ある程度の規模を持った企業の立場からは回答しません。

さて、この問題【2】の記述は微妙に問題のすり替えを行っています。「ウェブ上のビジネス=オンライン・ショッピング」という図式を作って、一般的な消費者は大手サイトからしかものを買ってくれないから、個人がウェブ上でビジネスがしにくいと言っているようです。【1】と【2】は矛盾していません。
まずは、問題文【1】を信じましょう。「個人が会社に属さずにウェブでビジネスをして十分に食って行くことができる」のです。ウェブ進化論的な話題になりますが、今はウェブの進歩によって富の分配メカニズムが変わり、消費者がものを買うお金だけではないお金(主に企業の広告費や販売費)を、サービス提供者が利益として得られるようになっています。典型例としては、アドセンスやアフィリエイトです。チープ革命の一面の本質は、大手の Google や Amazon が集金メカニズムを構築していて、個人がその集金メカニズムを投資なしで利用できるようになったことだといえるでしょう。収益モデルが投資なしに構築できるから、個人でもビジネスが始められるというわけです。

しかし、個人が起業するために、アドセンスやアフィリエイトから利益をあげられるようなウェブサイト(ブログ)でも作るといったら、回答としては少々つまらないですよね。もしそうだとすると、個人でビジネスをするにはみんな物書きになれって言っているようなもので、ビジネスチャンスと呼べるものではないでしょう。ただ、私はこの回答には一つの本質が含まれていると考えています。それは、ウェブによって「面白い(役に立つ)ものがあったら少ない初期投資でもお金になる仕組み」が生まれたということだと思います。

というわけで、つまらない結論を言うと、面白い(役に立つ)ものを作って、集金メカニズムは既存の大手のものを利用して、初期投資を小さくしましょうということで。

それにしても、「ウェブ上のビジネス=オンライン・ショッピング」に向くような定番的な入金システムはほしいですね。ある程度の規模を持った企業なら、一番のビジネスチャンスはここと見るべきなんじゃないかなぁ・・・。


Posted by あかさた
Winny 裁判の判決が出たようですね。罰金150万ということです。判決は妥当な気がするのですが、この裁判の論点がわからなくなってしまったので、ちょっと整理してみました。(--;

この裁判の争点は以下の二つのようです。
(1) ソフトウェアそのものの違法性
(2) ソフトウェア配布の目的の違法性(著作権侵害の幇助があったかどうか)

(1) についてですが、ソフトウェアの機能によって違法性が問われるということはなかったようです。問題になったのは、(2) ですが、以下の記事によると「ただし、Winnyによって著作権侵害の蔓延を積極的に企図したとまでは、認められない」とのことですから、(2) も却下されているような気がします。

Winny裁判、罰金刑は重いか?軽いか?--自己矛盾を抱えた判決
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20338740,00.htm

ただし、金子被告の Winny 提供の動機は、現行の著作権システムの破壊にあったようですから、ある種のテロリストみたいなものかもしれません。その辺が罪に問われたのかもしれませんね。

YouTube とか、著作権期間延長問題とか、最近著作権に関する話題というか問題が多い気がします。これを機に著作権に関する議論が進むと良いのですが。

おっと、以下も盛り上がっていますね。

スラッシュドット - Winny開発者に罰金150万円の有罪判決
http://slashdot.jp/articles/06/12/13/0129256.shtml

Posted by あかさた